原川ボス 今月のコラム

2024年09月30日

変わりゆく展示会

9月に入ってからも、暑い日が続いていますね。
年々夏が長く、秋が短くなってきているように感じます。
今年の台風10号は、浜松にも大雨をもたらしました。
そのせいで建前の日取りの延期が続き、
仕事のスケジュールに支障が出てしまいました。
猛暑によって、農業や漁業にも影響が出ており、
食生活が打撃を受けています。
早く秋らしい気候が訪れてほしいですね。

さて、今回のテーマは「変わりゆく展示会」です。
今年も残り4か月を切りました。相変わらず、新築戸建て住宅の着工数は伸び悩み、苦境から抜け出せないままです。その理由は、これまでと同様に建築費用の高額化です。建材の料金は高止まりで落ち着いてはいますが、いわゆる2024年問題による配送料の値上げの影響は大きいです。我々建材を販売する企業としては、これまでは、お施主さんの元へ配送する際は、配送料をいただいていませんでした。今後は、建材の料金とは別に配送料を計上する価格設定にシフトしていけるように、同業者同士で話し合っている最中です。
業界の動向としては、以前述べたように、住宅から工場や倉庫などの非住宅の建物へ移行する舵取りをする企業が多いです。ただ、非住宅系は景気の良し悪しで需要に変動があり、業績が左右されやすい傾向があります。また、そもそも非住宅系はすでに参入している企業がいるのでパイの奪い合いになってしまいます。新たな仕事を得るための模索はこれからも続きそうです。
さて、先日、建材の展示会に出席するため、東京に行ってきました。新型コロナウイルス感染拡大によって、一時はバーチャル展示会など、人が集まらない形式の展示会も行われていましたが、やはり人が集う展示会は良いなあと改めて思いました。こういう時にしか顔を合わせられない人たちと会えますし、直接言葉を交わすことで、有益な情報を得ることもできます。
展示会の内容は、昔に比べると様変わりしているなあと感じました。問屋さんのプライベートブランドの主力が電化製品になり、住宅そのものよりも、電化製品をはじめとする商品や内装に力を入れている印象でした。今までは水道や電気など、商品と工事がセットになっていたものが、商品のみ、工事のみでも可能になっていたことにも驚きました。
また、材木の取り扱いが昔よりも減っていると感じました。その理由は、お施主さんのお金のかけ方が変化しているからでしょう。以前は屋久杉のテーブルなどの見栄えの良い木材の製品の展示がありましたが、そういうものはなく……。現在は床の間のある和室がない家がスタンダードになっていますし、ライフスタイルの変化が展示会にも如実に現れているようです。
展示会は、最新の情報や商品だけでなく、日本人の家に対する意識や暮らし方の変化も見ることができるのだなあと思いました。
(2024年9月10日 記) 

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原川誠
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2024年07月31日

研修旅行

今年は梅雨入りが遅い年でしたね。
東海地方は、平年よりも15日遅い梅雨入りでした。
気象庁によると、今年の梅雨はいつもとは違うらしく、
梅雨入りは日本各地で10日以上も遅く、
梅雨が始まったと思ったら、早々に警報級の大雨!
異常な雨量にびっくりしていると猛暑に見舞われ……。
なんともおかしな梅雨でした。
急な暑さで体の不調を感じた人も多いと思います。
いよいよ夏本番、熱中症に気をつけて、
暑さを乗り越えたいものですね。

さて、今回のテーマは「研修旅行」です。
新型コロナウイルスが5類に移行して以来、会合や会食など、人が集まって行うものも、消毒や感染予防に配慮しつつ開催されるようになりました。問屋さんやメーカーさん、住宅会社さんなどが主催する研修旅行も以前のように行われるようになり、同業の方々と交流する機会を得られています。今月の初めには、バスで東京の上野と神奈川の横須賀を巡る一泊二日の研修旅行に参加しました。
初日は東京へ向かいました。上野には、昼過ぎに着いたのですが、猛暑に驚きました。まだ梅雨明けしていないのにこの暑さ……。これからの猛暑が恐ろしいですね。上野の目的は、研修旅行らしく建築物の見学です。ボランティアガイドさんの話を聞きながら歩いて回ったのですが、上野には歴史的にも文化的にも貴重な建築物がいろいろと残っています。中でも有名なのは、20世紀を代表する建築家の一人であるフランスの建築家ル・コルビュジエが設計した、国立西洋美術館本館です。
国立西洋美術館本館は、戦後、日仏間の国交回復・関係改善の象徴として1959年に竣工した鉄筋コンクリート造の建物で、日本唯一のル・コルビュジエ建築です。本館は「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の構成資産として世界文化遺産に登録されています。世界各地に残るル・コルビュジエの建築作品のうち、フランスを中心とする3大陸7か国に残る建築群が対象となっており、大陸を跨ぐ初の世界遺産登録だそうです。ほかにも、中には入りませんでしたが、東京国立博物館や国立国会図書館国際子ども図書館などを見て回りました。暑さで消耗しましたが、日本の近代建築の歴史を感じられる時間でした。
二日目は、浜松へ戻る途中に横須賀の「YOKOSUKA軍港めぐり」に参加しました。日米の艦船を見ることができる、日本唯一のクルーズです。横須賀市は、黒船で知られるペリーが来航した街で、海軍港として発展してきました。現在はアメリカ海軍施設(横須賀本港)と海上自衛隊の司令部(長浦港)が置かれており、これらの港をクルーズ船で巡り、アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船を間近に見ることができます。どんな艦船を見られるかは当日のお楽しみなのですが、潜水艦や護衛艦、イージス艦など、近くに寄って見られるだけに、どれも大迫力でした。
建築にしても戦艦にしても、人間の力があってこそかたちになります。そして、それを次世代へつないでいく技術の継承は不可欠です。建築現場には、今もなかなか若い世代が入ってきませんが、人材をどのように確保し、育成していくか……。国を挙げて取り組む重要性を改めて感じた二日間でした。
(2024年7月12日 記)

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原川誠
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2024年05月28日

浜松まつりと近況

新年度の慌ただしい日々が過ぎ、
少しほっとできる時間が増えた方も
多いのではないでしょうか。
今年は全国的に桜の開花が大幅に遅れ、
5月に入ってからも気温は乱高下。
体調管理に気を遣う時期ですね。
季節の変わり目の疲れを引きずらずに
元気にお過ごしください。


さて、今回のテーマは「浜松まつりと近況」です。今年はコロナ禍で自粛していた浜松まつりが5年ぶりにフル開催されました。完全復活とあって、人出は過去2番目に多い約245万3000人。観光客も多く訪れ、宿泊業や飲食業の売り上げが良かったそうです。これも一種のインバウンド。市外からたくさんの人を呼び込み、活気を増やす浜松まつりは、経済効果が抜群だと思います。
今年の浜松まつりに参加した感想は……とにかく感慨深かったです。やはり、自粛なしは良いですね。これまでを振り返ってみたのですが、自分が子どもだった頃の浜松まつりを思い出しました。昔、旧浜松市だった頃は、静岡大学近くの和地山練兵場の跡地である和地山公園で凧揚げをしていました。その後、浜北や天竜など隣接するまちと合併後は、参加町がどんどん増えて規模が拡大し、中田島砂丘へ会場を移しました。子ども心に、盛り上がる大人たちが羨ましく、自分が参加するようになってからは、そのおもしろさを体感し、毎年の楽しみになったように思います。準備から本番、片付けまで、すべて自分たちの手で行う浜松まつりは、人と町のつながりを深めてくれるかけがえのない行事です。
現在、私の住まいがある町は250世帯ほど。若者の参加率が年々減少しています。準備はとにかく力仕事が多いので、若手が減ると体力的な負担が増えます。なにより、戦国時代の永禄年間以来の伝統を絶やしてはいけません。これからも浜松まつりが長く続いていくよう、若い人たちにも魅力を伝えていきたいと思います。
さて、本業についても少しお話しします。新築戸建て住宅の着工数ですが、今年は過去最低の80万戸を下回ると予想されています。一番多く建っていた頃は160万戸だったので、なんと半分以下です。日本全国の中でも静岡県は着工数が少なく、西部エリアは更に少ない状況です。そんな中でもパワービルダー(土地付きの規格住宅を販売している業者)は売上を増やしているようですが、地域に根差した地元の工務店は依然厳しい状況です。売上が好調なのは価格を安くしている会社ですが、このままでは値下げ競争が激しくなる一方なのも懸念事項です。
浜松まつりしかり、会社経営しかり、共通する課題の一つに、後継者問題があります。特に、家づくりに関しては、職人の技術の継承の危機が、以前からずっと言われ続けています。大工さん、左官屋さん、瓦屋さん、塗装屋さん、内装屋さん……、家づくりには多くの職人さんの技術が必須。いくら工場生産率が上がってきているとは言え、現場で動く人の力が不可欠です。高齢化による職人や後継者不足の解消を望んでやみません。
このコラムでも毎回のように述べていますが、今、この業界は新たな事業領域の開拓・拡大が急務です。弊社も、温めている事業があり、立ち上げを目指しています。良いご報告ができるように、これからも邁進します!
(2024年5月15日 記)

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